あらすじ
お父さん、何歳まで運転するつもり? 「わしは死ぬまで運転する!」「また高齢ドライバーの事故かよ」。猪狩雅志はテレビニュースに目を向けた。そして気づく。「78歳っていえば……」。雅志の父親も同じ歳になるのだ。「うちの親父に限って」とは思うものの、妻の歩美と話しているうちに不安になってきた。それもあって夏に息子の息吹と帰省したとき、父親に運転をやめるよう説得を試みるが、あえなも不首尾に。通販の利用や都会暮らしのトライアル、様々な提案をするがいずれも失敗。そのうち、雅志自身も自分の将来が気になり出して……。果たして父は運転をやめるのか、雅志の出した答えとは?心温まる家族小説!
角川書店公式ホームページより引用
誰もが目を背けたくなる問題への一つの回答
こんにちはトキオです。今回は「うちの父が運転をやめません」垣谷美雨さんの作品です。最近は垣谷美雨さんにハマっています。テンポ良く読み進めることができる作品なのに、内容が面白くて充実した日常を過ごすことができます。
この作品も2日間で読み終えることができました。読みやすいのにおもしろいって、すごいですよね。
本作は、社会の注目を集める高齢者による車の事故をテーマに取り扱っています。最近の若者こそ車離れが進んでいると言われていますが、アラフォーの親世代は車がステータスと言われていた時代を生きている人々です。
東京や大阪などの都心部を除いては、車は必要不可欠なのが社会の実態だと思います。
そんな世の中で、あなたは実家の両親に高齢になったから車の免許証を返還してと言えますか?説得できますか?
正直、誰しも年をとります。年をとった時に車は必要だ。そして、いつまでも親は親。元気であってほしいです。
その結果、うちの親はまだまだ元気だし、大丈夫。という考えが心のどこかにはあるのではないでしょうか。
この作品の主人公も親の運転が心配だけど、まだ大丈夫かなと。両親は田舎に住んでいるので、車がなければ生活は成り立たないと親に反論されれば、言い返せるだけの材料はない。という、誰しもが抱える悶々とした悩みをもっています。
中盤まではしんどいが、後半の嬉しさがステキ。
中盤までは、高齢者ドライバーに付き纏う様々な問題が噴出しますが、解決策がないため非常に苦しいです。特に親が高齢者の方は読み進めるのがつらいと思います。
途中、追い打ちのように友人の親が人身事故を起こしてしまいます。こころから、物語は大きく動き始めます。
後半の展開は、あらすじにも記載されておらず、ネタバレとなるために記載しませんが、ここから主人公の行動がすごく良いんです。
両親も喜ぶし、主人公と関わる人達、みんなが嬉しいんです。
もちろん、読者も嬉しいんです。
読み終えたあと、この本いいよと早く言いたくなる。素晴らしい作品です。
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